「最近、投稿のリーチが急に落ちた」「頑張って投稿しているのに、フォロワーが増えない」。
多くの運用担当者が抱えるその悩みの原因を、あなたは「アルゴリズムに嫌われた」せいだと思っていませんか?
しかし、それは根本的な誤解です。
アルゴリズムは、あなたを評価し、罰を与える「敵」ではありません。
Instagramのアルゴリズムとは、膨大なコンテンツの中から、ユーザー一人ひとりにとって「最も価値があり、興味を持つ可能性が高い情報」を届けるための、極めて優秀な「仲人」です。
つまり、アルゴリズムを理解することは、この仲人の性格や仕事ぶりを理解し、良好な関係を築くことに他なりません。
本記事では、アルゴリズムを機械的な攻略対象として捉える「ハック」の時代が終わり、ユーザーと誠実に向き合う「本質」の時代が来たことを宣言します。
この記事を読めば、アルゴリズムとの正しい付き合い方を学び、あなたの価値ある投稿を、それを本当に必要としている未来のファンへと届けるための、確かな羅針盤が手に入るでしょう。
大原則:Instagramに「単一のアルゴリズム」は存在しない
まず理解すべき最も重要なことは、Instagramには「たった一つのアルゴリズム」は存在しないという事実です。
フィード、ストーリーズ、リール、発見タブといった各機能は、それぞれ異なる利用目的を持っているため、評価の仕組み(アルゴリズム)も個別に最適化されています。
しかし、そのすべてに共通する最終目的は、「ユーザーのアプリ滞在時間を最大化すること」。
この大原則を理解すれば、各機能でどのようなコンテンツが求められているのかが見えてきます。
【機能別】アルゴリズムの仕組みと最重要シグナル
アルゴリズムは、ユーザーの行動(シグナル)を基に、コンテンツの表示優先度を決定します。
ここでは、各機能の目的と、株式会社but artが独自に解釈する「最重要シグナル」を解説します。
| 機能 | 主な目的 | 最重要シグナル(but art解釈) |
|---|---|---|
| フィード | 親しい友人や関心の高いアカウントの最新情報を発見する | 滞在時間、保存、コメント |
| ストーリーズ | 親しい間柄でのリアルタイムな日常の共有と交流 | 返信、スタンプでのリアクション |
| リール | 新しいエンターテイメント、面白いコンテンツとの偶然の出会い | 完全視聴率、再視聴、シェア |
| 発見タブ | ユーザーの潜在的な興味・関心を掘り起こし、新しい世界を提示する | 保存、いいね、プロフィールクリック |
2025年、特に重要視される5つのアクション
上記のシグナルの中でも、近年のアルゴリズムが特に重視しているのが、ユーザーの「深い興味」や「他者への推奨」を示す以下のアクションです。
1.保存: 「後で見返したい」と思わせる、専門性や有益性の高い情報である証
2.シェア: 「この情報を誰かに教えたい」と思わせる、共感性や話題性の高いコンテンツである証
3.コメント: 「会話に参加したい」と思わせる、双方向性や人間味のある発信である証
4.滞在時間: ユーザーが思わず読み込んでしまう、情報量の多さや構成の巧みさの証
5.プロフィールクリック: 「このアカウントは一体何者だ?」と興味を引く、発信内容の一貫性と専門性の証
アルゴリズム評価を高める「アカウントパワー」の概念
アルゴリズムは、個別の投稿だけでなく、アカウント全体の世界観や信頼性、つまり「アカウントパワー」も評価しています。
プロフィールの情報が充実しているか、投稿内容に専門性と一貫性があるか、フォロワーと日常的に交流しているか。
これら一つひとつの要素が、あなたのアカウントの「信頼スコア」を形成し、投稿の初期表示順位に影響を与えているのです。
【要注意】アルゴリズム評価を下げる可能性のあるNGアクション
良かれと思ってやっている行動が、実はアルゴリズムからの評価を下げている可能性があります。
・フォロワー購入や自動ツールの使用: 見せかけの数字を増やす行為は、エンゲージメント率を著しく低下させ、アカウントの信頼を失います。
・関連性の低いハッシュタグの乱用: リーチを欲張るあまり、投稿内容と無関係な人気ハッシュタグをつける行為は、アルゴリズムを混乱させます。
・プレゼント企画の乱発: 「プレゼントが欲しいだけ」の質の低いフォロワーを集めてしまい、長期的なエンゲージメントを損ないます。
・コミュニティガイドライン違反: 言うまでもなく、規約に違反するコンテンツは評価を著しく下げ、時にはアカウント凍結のリスクもあります。
アルゴリズムをハックするな、オーディエンスを愛せ
小手先のテクニックでアルゴリズムを出し抜こうとする「ハック」は、いずれ通用しなくなります。
なぜなら、アルゴリズムは日々進化し、より人間の本質的な行動を理解しようと努めているからです。
株式会社but artが目指すのは、アルゴリズムに媚びることではありません。
あなたの発信を心から愛し、応援してくれる熱狂的なファンコミュニティを創造することです。
オーディエンスを深く理解し、彼らが本当に求める価値を提供し続けること。
その結果として、アルゴリズムは「優秀な仲人」として、あなたの投稿をまだ見ぬ未来のファンへと、誠実に届けてくれるのです。
まとめ:アルゴリズムの先にある「人間」を見つめよう
アルゴリズムの仕組みを理解することは、Instagram運用において非常に重要です。
しかし、その知識は、フォロワーという「人間」をより深く理解し、彼らとより良い関係を築くために使われてこそ、真価を発揮します。
数字の向こう側にいる一人ひとりの顔を想像し、心を込めてコンテンツを届けること。
その人間的な温かみこそが、これからの時代にアルゴリズムを最も効果的に「味方につける」方法なのです。
執筆者プロフィール
株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。
大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。
