「毎日投稿を頑張っているのに、いいねは増えても売上には繋がらない」「SNSに時間をかけているが、本当に効果があるのか分からない」。
多くの企業担当者が、このような悩みを抱えています。その根本的な原因は、SNS運用が目的のない単なる「作業」になってしまっていることにあります。
成果の出るSNSマーケティングは、戦略という名の羅針盤があって初めて成立します。
本記事では、単なるテクニックの紹介ではなく、貴社のビジネスを成功に導くための「戦略の立て方」そのものを、6つの具体的なステップに沿って体系的に解説します。
この記事を読めば、日々の投稿という「戦術」が、ビジネスゴールという「戦略」と結びつき、あなたのSNS運用は「作業」から「成果を生むマーケティング活動」へと昇華するでしょう。
まず、戦略と戦術の違いを理解しよう
多くの人が混同しがちな「戦略」と「戦術」の違いを理解することが、成功への第一歩です。
戦略とは「どこに向かうか」を描く地図であり、ビジネスの最終目的(KGI)を達成するためのシナリオです。
例:「若年層のブランド認知度を20%向上させ、次世代の顧客基盤を築く」
戦術とは「どう進むか」を決めるコンパスであり、戦略を実行するための具体的な施策です。
例:「TikTokでインフルエンサーとコラボし、週3回ショート動画を投稿する」
戦略なき戦術は、目的地を知らずに船を漕ぎ出すようなものです。
どれだけ一生懸命オールを漕いでも、望む場所にはたどり着けません。
まずは、しっかりとした地図(戦略)を描くことから始めましょう。
失敗しないSNSマーケティング戦略を立てる6つのステップ
ステップ1:目的(KGI)と目標(KPI)を明確にする
何のためにSNSをやるのか? この問いに明確に答えられなければ、戦略は描けません。
まずは、SNSマーケティングを通じて達成したい最終ゴール(KGI: Key Goal Indicator)を具体的に設定します。
| ビジネスの目的 | KGI(最終ゴール)の例 |
|---|---|
| 認知拡大 | 半年後のブランド指名検索数を前年比150%にする |
| リード獲得 | SNS経由での月間問い合わせ件数を30件にする |
| 顧客ロイヤリティ向上 | 既存顧客向けのコミュニティ参加者を1,000人にする |
次に、KGI達成までの中間指標であるKPI(Key Performance Indicator)を設定します。
KPIは、日々の活動が正しい方向に進んでいるかを確認するための道しるべとなります。
例:KGIが「SNS経由の月間問い合わせ30件」の場合
・KPI1:プロフィールへのアクセス数 3,000回/月
・KPI2:ウェブサイトへのクリック数 300回/月
・KPI3:ウェブサイトからの問い合わせ率(CVR) 10%
ステップ2:ターゲット(ペルソナ)を具体的に描く
「誰に届けたいのか」を明確にしなければ、メッセージは誰にも響きません。
年齢や性別といったデモグラフィック情報だけでなく、価値観、ライフスタイル、抱えている悩みといったインサイトまで掘り下げ、具体的な一人の人物像(ペルソナ)として描き出しましょう。
ステップ3:3C分析で自社の立ち位置を把握する
自社を取り巻く環境を客観的に分析し、勝てる場所を見つけます。
・顧客(Customer): 設定したペルソナは、どのSNSを、いつ、どのように利用しているか?
・競合(Competitor): 競合他社は、どのSNSで、何を、どのように発信し、どんな反応を得ているか?
・自社(Company): 競合にはない、自社ならではの強み(USP: Unique Selling Proposition)は何か?
ステップ4:最適なプラットフォームを選定する
ステップ2と3の分析結果に基づき、主戦場となるSNSを選びます。
自社の目的とターゲットに最も合致するプラットフォームにリソースを集中させることが成功の鍵です。
ステップ5:心を動かすコンテンツ戦略を設計する
「何を伝えるか」を具体的に設計します。発信の軸となるコンセプト(世界観)を定め、一貫性のある情報発信を心がけましょう。
また、企業からの一方的な発信だけでなく、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出を促したり、インフルエンサーと協力したりと、ユーザーを巻き込む視点が重要です。
ステップ6:効果測定と改善(PDCA)の仕組みを作る
戦略は立てて終わりではありません。
定期的にKPIの進捗を確認し、計画と実績のギャップを分析、次のアクションに繋げるPDCAサイクルを回す仕組みを構築しましょう。
月次でのレポーティングや改善会議を定例化することをお勧めします。
SNSマーケティングでよくある3つの失敗パターン
失敗1:「目的の曖昧化」で投稿がブレブレになる
「バズること」自体が目的となり、本来のビジネスゴールからかけ離れた投稿を繰り返してしまうケース。
一貫性のない発信は、ブランドイメージを毀損し、ファンを遠ざけます。
失敗2:「リソース不足」で中途半端に終わる
担当者が通常業務と兼務で、十分な時間を確保できないケース。
コンテンツの質が低下し、更新が滞り、結局誰も見ないアカウントになってしまいます。
失敗3:「効果測定なし」でやりっぱなしになる
投稿することに満足し、その結果を振り返らないケース。
何が良くて何が悪かったのかを分析しなければ、改善のしようがなく、運用の精度は一向に上がりません。
戦略実行を加速させる体制と予算の考え方
戦略を絵に描いた餅で終わらせないためには、実行体制と予算の確保が不可欠です。
理想は専任担当者を置くことですが、難しい場合はチームで役割を分担し、一人あたりの負荷を軽減する工夫が必要です。
予算については、広告費やツール費だけでなく、担当者の人件費(工数)も考慮した上で、費用対効果を判断しましょう。
戦略立案から実行まで、プロと伴走するという選択肢
「戦略の重要性は分かったが、自社だけで実行するのは難しい」。
そう感じた方も多いのではないでしょうか。
株式会社but artでは、貴社がSNSマーケティングを自走できる体制を構築するための「内製化支援サービス」を提供しています。
単なるコンサルティングや運用代行ではありません。
貴社の課題に合わせた人数無制限の研修と、誰でも同じ品質で運用できる詳細なマニュアルを提供することで、ノウハウを特定の個人に依存させず、会社全体の資産として蓄積することを目指します。
月額10万円からという価格で、戦略立案から日々のPDCAサイクルまで、専門家が貴社と伴走します。
まとめ:戦略こそが、SNSマーケティング成功への唯一の道
SNSマーケティングは、もはや単なる情報発信ツールではありません。
顧客と繋がり、ブランドを育て、ビジネスを成長させるための強力な経営戦略です。
本記事で紹介した6つのステップに沿って、まずは自社の「目的(KGI)」を明確にすることから始めてみてください。
しっかりとした戦略があれば、日々の「戦術」は自ずと磨かれ、SNSは貴社にとって最強の武器となるはずです。
執筆者プロフィール
株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。
大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。
