SNS運用マニュアルの作り方|属人化を防ぎ、品質を担保する5つの項目

「担当者が辞めたら、SNSの更新が止まってしまった」 「投稿のトーン&マナーが担当者によってバラバラ」 「新任担当者に、何から教えればいいか分からない」

SNS運用の属人化は、多くの企業が抱える深刻な課題です。

この問題を解決し、持続可能で質の高い運用を実現するために不可欠なのが「SNS運用マニュアル」です。

本記事では、誰が担当しても運用レベルを維持できる、実践的なSNS運用マニュアルの作り方を、具体的な項目とテンプレート付きで解説します。

目次

  1. なぜSNS運用マニュアルが必要なのか?
  2. マニュアルに盛り込むべき5つの必須項目
  3. 【テンプレート付】マニュアル作成の実践ステップ
  4. マニュアルを形骸化させないための運用法
  5. まとめ

1. なぜSNS運用マニュアルが必要なのか?

運用マニュアルは、単なる引継ぎ資料ではありません。

以下の3つの重要な役割を果たします。

1. 属人化の防止と運用の継続性確保

担当者の急な休職や退職が発生しても、マニュアルがあれば他のメンバーが運用を引き継ぐことができます。

企業の重要なマーケティング活動を止めることがありません。

2. 運用品質の標準化

アカウントのコンセプト、ペルソナ、投稿のトーン&マナーなどを明文化することで、担当者が複数人いても、一貫性のあるブランドイメージを保つことができます。

3. 教育コストの削減

新任担当者への教育を効率化できます。

マニュアルを読めば、アカウントの全体像から日々の具体的な作業までを体系的に理解できるため、OJTの時間を大幅に削減できます。


2. マニュアルに盛り込むべき5つの必須項目

実用的なマニュアルには、以下の5つの項目を必ず盛り込みましょう。

項目1: アカウント基本方針

運用の「憲法」となる部分です。

なぜこのアカウントを運用するのか、誰に何を届けたいのかを明確にします。

記載内容

・運用目的(KGI)
・ターゲットペルソナ
・アカウントコンセプト
・数値目標(KPI) アカウント情報(ID、パスワード、登録メールアドレス)

項目2: 投稿コンテンツ規定

日々の投稿作成に関するルールを定めます。

記載内容

・投稿の方向性(お役立ち情報、事例紹介など)
・トーン&マナー(ペルソナの口調、絵文字の使用ルール)
・画像・動画のレギュレーション(サイズ、世界観、使用フォント)
・ハッシュタグの選定ルール
・投稿作成・承認フロー

項目3: コミュニケーション規定

ユーザーとの対話に関するルールです。ブランドの印象を左右する重要な部分です。

記載内容

・コメント・DMへの返信方針(返信する範囲、返信時間、担当者)
・ポジティブなコメントへの対応
・ネガティブなコメントへの対応
・ユーザーからの質問への対応

項目4: レポーティング規定

成果を測定し、改善に繋げるためのルールを定めます。

記載内容

・レポーティングの頻度(週次、月次)
・測定するKPI項目
・レポートのフォーマット
・レポートの共有範囲と報告フロー

項目5: 緊急時対応規定

炎上などのトラブル発生時の対応方法を定めます。

有事の際に迅速かつ冷静に対応するために不可欠です。

記載内容

・炎上の定義と判断基準
・エスカレーションフロー(誰に、どの順番で報告するか)
・対外的な発表(謝罪文など)の承認フロー
・緊急連絡網


3. 【テンプレート付】マニュアル作成の実践ステップ

以下のテンプレートを参考に、自社の状況に合わせてマニュアルを作成してみてください。

SNS運用マニュアル

1. アカウント基本方針

  • 運用目的: [例: 20代女性へのブランド認知度向上と、ECサイトへの送客]
  • ターゲットペルソナ: [ペルソナの詳細を記載]
  • アカウントコンセプト: [例: 「頑張る女性の、心と体を癒す」をテーマに、オーガニックなライフスタイルを提案]
  • KPI: [例: フォロワー数 月5%増、ECサイトへのセッション数 月1,000件]
  • アカウント情報: [ID、パスワード管理方法などを記載]

2. 投稿コンテンツ規定

  • 投稿の方向性: [お役立ち情報8割、宣伝2割など]
  • トーン&マナー: [例: 親しみやすい「ですます調」。絵文字は🌿✨のみ使用可]
  • 画像レギュレーション: [例: 明るく、自然光を活かした写真。Canvaの指定テンプレートを使用]
  • 投稿フロー: [担当者Aが下書き作成 → マネージャーBが承認 → 担当者Aが予約投稿]

3. コミュニケーション規定

  • 返信方針: [例: すべてのコメントに24時間以内に返信。DMは商品に関する質問のみ対応]
  • ネガティブコメント対応: [まずは共感を示し、事実確認。必要であれば上長に報告]

4. レポーティング規定

  • 頻度: [毎週月曜日に週次レポートを作成]
  • 測定KPI: [エンゲージメント率、プロフィールクリック率、URLクリック率]
  • 報告フロー: [担当者が作成し、週次定例でマーケティング部全員に共有]

5. 緊急時対応規定

  • 緊急連絡網: [関係者の連絡先を記載]
  • 炎上の定義: [例: 1時間で批判的なコメントが10件以上つくなど]
  • エスカレーションフロー: [担当者 → マーケティングマネージャー → 広報部長]

4. マニュアルを形骸化させないための運用法

マニュアルは、作って終わりではありません。

定期的に見直し、常に最新の状態に保つことが重要です。

半年に1回の見直し

SNSの仕様変更やトレンドの変化は非常に速いです。

少なくとも半年に1回はマニュアルの内容を見直し、現状に合わせてアップデートしましょう。

成功・失敗事例の蓄積

「エンゲージメントが高かった投稿」や「ユーザーから良い反応が得られたコメント対応」などの成功事例、逆に「炎上しかけた投稿」などの失敗事例をマニュアルに追記していきましょう。

これがチーム全体の貴重な財産となります。


まとめ

SNS運用マニュアルは、属人化を防ぎ、チームで安定的に成果を出し続けるための生命線です。

最初は作成に手間がかかりますが、長期的に見れば、教育コストの削減やリスク管理など、計り知れないメリットをもたらします。

本記事を参考に、ぜひ自社の「秘伝のタレ」となる最強の運用マニュアルを作成してください。


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執筆者プロフィール

株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。

大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。