SNS運用におけるKPI設定の教科書|目標達成のための指標選び

「フォロワーは増えたけど、売上には繋がらない」「いいねは付くけど、採用応募はゼロ」——。

多くの企業が、SNS運用の成果を正しく測れず、目的を見失っています。その原因は、ビジネスゴールと連動したKPI(重要業績評価指標)が設定できていないことにあります。

本記事では、SNS運用におけるKPI設定の基本から、ビジネスの目的(認知拡大、リード獲得、採用など)に応じた具体的なKPI設定例、そしてKPIを達成するためのPDCAサイクルの回し方までを網羅的に解説します。

この記事を読めば、もう「なんとなく」の運用から卒業し、データに基づいて成果を出すための具体的な方法がわかります。

KPIとは?KGIとの違いを理解する

KGI(重要目標達成指標):最終ゴール

KGI (Key Goal Indicator) は、ビジネスの最終的な目標を定量的に示す指標です。

SNS運用においては、以下のようなものがKGIとなります。

・売上: SNS経由の売上〇〇円
・リード獲得: SNS経由の問い合わせ〇〇件
・採用: SNS経由の応募者数〇〇人

KPI(重要業績評価指標):中間目標

KPI (Key Performance Indicator) は、KGIを達成するための中間的な目標指標です。

KGI達成までのプロセスを分解し、具体的なアクションに繋がる指標を設定します。

:KGIが「SNS経由の売上100万円」の場合

KPI1:ウェブサイトへの流入数 10,000
KPI2:商品ページのクリック率 10%
KPI3:購入率 1%

【目的別】SNS運用のKPI設定モデル

目的1:認知拡大(ブランディング)

ゴール:より多くの人に自社のブランドや商品を知ってもらう

KPI指標目安測定方法
インプレッション数投稿の表示回数各SNSのインサイト機能
リーチ数投稿を見たユニークユーザー数各SNSのインサイト機能
フォロワー数アカウントのファン数各SNSのインサイト機能
プロフィールアクセス数アカウントへの関心度各SNSのインサイト機能

目的2:エンゲージメント向上(ファン育成)

ゴール:既存フォロワーとの関係を深め、熱量の高いファンを育てる

KPI指標目安測定方法
エンゲージメント率(いいね+コメント+保存)÷リーチ数手動計算 or 分析ツール
いいね数投稿への共感度各SNSのインサイト機能
コメント数投稿への関心・対話意欲各SNSのインサイト機能
保存数投稿の有益性・再訪意欲Instagramインサイト

目的3:リード獲得(見込み客創出)

ゴール:SNSから自社のウェブサイトやLPに誘導し、見込み客情報を獲得する

KPI指標目安測定方法
ウェブサイトクリック数プロフィールや投稿からの流入数各SNSのインサイト機能
コンバージョン数(CV)資料請求、問い合わせ、メルマガ登録数Google Analyticsなど
コンバージョン率(CVR)CV数 ÷ ウェブサイトクリック数Google Analyticsなど

目的4:採用強化

ゴール:SNSを通じて企業の魅力を伝え、採用応募に繋げる

KPI指標目安測定方法
採用サイトクリック数プロフィールや投稿からの流入数各SNSのインサイト機能
採用イベント申込数SNS経由での説明会などの申込数Google Analyticsなど
採用応募数SNS経由での応募者数Google Analyticsなど

失敗しないKPI設定の5つのポイント(SMART)

Specific(具体的であるか)

曖昧な目標ではなく、誰が見てもわかる具体的な指標を設定しましょう。

  • NG:「フォロワーを増やす」
  • OK:「Instagramのフォロワー数を3ヶ月で1,000人増やす」

Measurable(測定可能であるか)

必ず数値で測定できる指標を選びましょう。測定できなければ、改善もできません。

  • NG:「ブランドイメージを向上させる」
  • OK:「指名検索数を前月比120%にする」

Achievable(達成可能であるか)

現実的に達成可能な目標を設定しましょう。高すぎる目標は、担当者のモチベーションを低下させます。

  • NG:「1ヶ月でフォロワー10万人」
  • OK:「過去3ヶ月の平均フォロワー増加数から、達成可能な目標を設定する」

Relevant(KGIと関連しているか)

設定したKPIが、最終的なビジネスゴール(KGI)の達成に貢献するかを確認しましょう。

  • NG:KGIが「売上向上」なのに、KPIが「いいね数」だけ
  • OK:KGIが「売上向上」なので、KPIに「ウェブサイトクリック数」と「CVR」を設定する

Time-bound(期限が明確であるか)

「いつまでに」という期限を明確に設定しましょう。期限がなければ、行動は先延ばしにされてしまいます。

  • NG:「いつかウェブサイトクリック数を増やす」
  • OK:「次回の四半期末までに、ウェブサイトクリック数を月間5,000にする」

プラットフォーム別の重要KPI

プラットフォーム特徴重要KPI
Instagramビジュアル重視、世界観の構築保存数、ストーリーズのエンゲージメント、プロフィールアクセス数
X (Twitter)リアルタイム性、情報拡散力リポスト数、インプレッション数、ハッシュタグのトレンド入り
TikTokショート動画、エンタメ性平均視聴時間、視聴完了率、UGC(ユーザー生成コンテンツ)数
Facebook実名制、ビジネス利用イベント参加者数、グループへの参加者数、ウェブサイトクリック数

KPIを達成するためのPDCAサイクル

Plan(計画)

  • KGIとKPIを設定する
  • ターゲットとペルソナを明確にする
  • 具体的な施策(投稿内容、頻度、キャンペーン)を計画する

Do(実行)

  • 計画に基づいてコンテンツを制作・投稿する
  • コメントやDMに丁寧に対応する

Check(評価)

  • 設定したKPIを測定・分析する
  • 計画と実績の差異を確認する
  • 成功要因と失敗要因を特定する

Action(改善)

  • 分析結果に基づいて、次回の計画を修正する
  • 効果のあった施策は継続・発展させる
  • 効果のなかった施策は中止・改善する

KPI測定に役立つツール

  • 各SNSの公式インサイト機能:無料で基本的なデータを取得可能
  • Google Analytics:ウェブサイトへの流入後の行動を分析
  • サードパーティ製分析ツール:より詳細な分析や競合調査が可能(例:Statusbrew, Social Insight)

株式会社but artのKPI設計支援

弊社では、SNS運用のKPI設計から、PDCAサイクルの構築まで、トータルでサポートしています。

特徴詳細
完全カスタマイズ企業の課題とゴールに合わせて、最適なKPIを設計。全SNSに対応可能
圧倒的なコストパフォーマンス受講人数に関わらず料金は同額。月額10万円からの内製化支援プランにも研修が含まれます。
実践重視のカリキュラム座学だけでなく、自社アカウントを題材にした実践ワークを豊富に実施。
運用マニュアル提供研修後の運用マニュアル提供により、担当者が変わっても品質を維持できる俗人化しない体制を構築。
豊富な実績大手企業から中小企業まで、多様な業界での研修実績。

まとめ:成果を出すSNS運用はKPI設定から始まる

SNS運用の成果は、正しいKPI設定にかかっています。

自社のビジネスゴールから逆算し、SMARTの原則に沿って具体的で測定可能なKPIを設定しましょう。

そして、PDCAサイクルを回し続けることで、SNS運用は必ずビジネスの成長に貢献する強力な武器となります。

まずは自社の目的を明確にすることから始めてみましょう。

執筆者プロフィール

株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。

大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。