作り込んだフィード投稿で新しいフォロワーを獲得しにいく。
その行為を「狩り」と表現するならば、ストーリーズの役割は、獲得したフォロワーという畑を丁寧に耕し、豊かな実り(=熱狂的なファン)を育てる「農耕」に例えられます。
多くの運用担当者が、この根本的な役割の違いを理解しないまま、フィード投稿と同じ感覚でストーリーズを更新し、その価値を最大化できずにいます。
24時間で消えるという特性から、「作り込んでも無駄」と感じてしまうかもしれません。
しかし、その儚さこそが、フォロワーとの間に特別な親密さを生み出すのです。
この記事では、ストーリーズを単なる「日常投稿」の場で終わらせず、「既存フォロワーとの関係を育む」ための最重要ツールとして戦略的に活用するための、本質的な考え方と具体的な実践術を解説します。
なぜストーリーズが重要なのか?心理学が証明する「ザイオンス効果」
ストーリーズの戦略的重要性の根幹には、「ザイオンス効果(単純接触効果)」という心理学の法則があります。
これは、人は特定の対象に繰り返し接触することで、その対象への好感度や親近感が高まっていくというものです。
24時間で消えるというストーリーズの「気軽さ」は、企業がフォロワーに対して高頻度で、かつ自然に接触する機会を生み出します。
フィード投稿のような完璧さよりも、むしろ少しラフな「舞台裏」や「中の人の素顔」を見せることで、フォロワーはあなたのアカウントに人間的な魅力を感じ、やがては熱狂的なファンへと変わっていくのです。
もう迷わない!インタラクティブ機能の「目的別」活用法
ストーリーズの真価は、アンケートや質問箱といった「インタラクティブ機能」にあります。
これらを単なるお遊びで終わらせず、明確な目的意識を持って活用することで、フォロワーとの関係構築や販売促進に繋げることができます。
| 目的 | 活用する機能 | 具体的な活用例 |
|---|---|---|
| コミュニケーション促進 | アンケート、クイズ、質問箱 | 「次の新色、どっちが好き?」「私たちのサービス、〇〇なイメージありませんか?」など、フォロワーが気軽にタップ一つで参加できる問いかけで、インサイトを収集する。 |
| UGC(口コミ)創出 | お題スタンプ、メンション | 「#マイベストコスメ2025」のようなお題を提示し、フォロワーの投稿を促す。優れた投稿は許可を得てストーリーズで紹介し、コミュニティの一体感を醸成する。 |
| 販売促進・イベント告知 | カウントダウン、リンクスタンプ、商品タグ | 新商品の発売日までをカウントダウンして期待感を煽ったり、ブログ記事やECサイトへリンクスタンプで直接誘導したりすることで、スムーズな購買体験を提供する。 |
ストーリーズ投稿、ネタ切れ知らずの「7つの型」
毎日更新するとなると、ネタ切れに悩む担当者も少なくありません。
そんな時は、以下の「7つの型」を参考に、投稿のバリエーションを広げてみましょう。
1.舞台裏・プロセス公開型: 商品開発の苦労話や、オフィスでの何気ない日常を見せることで、ブランドへの親近感を醸成します。
2.お役立ち情報・ノウハウ提供型: フィード投稿の内容を、より噛み砕いて解説したり、補足情報を提供したりして、価値を再認識させます。
3.双方向コミュニケーション型: 質問箱やアンケート機能を使い、フォロワーの悩みや意見を徹底的にヒアリングします。
4.UGC・お客様の声紹介型: 顧客からの嬉しい報告や、商品を使っている様子の投稿を紹介し、第三者からの評価(社会的証明)を高めます。
5.イベント・ライブ告知型: ライブ配信やオンラインイベント、セール情報などを事前に告知し、参加への期待感を高めます。
6.フィード投稿誘導型: 「新しい投稿をしました!」というストーリーズを投稿し、フィード投稿のエンゲージメント初速を高めます。
7.人間味・ユーモア型: 運用担当者の個人的な気づきや、クスッと笑える失敗談などを共有し、アカウントの「人格」を感じさせます。
ハイライトを「ミニウェブサイト」として戦略的に設計せよ
ハイライトは、単なる過去のストーリーズの保管場所ではありません。
それは、あなたのアカウントを初めて訪れた新規フォロワーが、あなたが何者であるかを知るための「ミニウェブサイト」です。
以下の5つのハイライトを基本として設計し、訪問者をスムーズにファンへと導きましょう。
・自己紹介: あなたが誰で、何を発信しているのか。
・サービス/商品: あなたが提供できる価値は何か。
・お客様の声: どんな人が、どのように満足しているのか。
・よくある質問: 顧客が抱きがちな疑問への回答。
・お問い合わせ: 次のアクションへの導線。
カバー画像をブランドカラーで統一するだけでも、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
ストーリーズは「コミュニケーションシナリオ」の一部である
個々のストーリーズ投稿を「点」で終わらせていては、その効果は半減してしまいます。
フォロワーがあなたのアカウントを認知し、興味を持ち、最終的にファンになるまでの一連の「コミュニケーションシナリオ」を描き、その中でストーリーズがどのような役割を果たすべきかを設計することが重要です。株式会社but artでは、こうした顧客育成のストーリーテリング設計を最も得意としています。
まとめ:ストーリーズを制する者は、顧客の心を制する
ストーリーズは、現代のマーケティングにおいて、顧客との心理的な距離を最も縮めることができる強力なツールです。
その戦略的重要性を理解し、フォロワーとの「対話」を心から楽しむこと。
その姿勢こそが、彼らの心を掴み、長期的な信頼関係を築くための唯一の道です。今日から、あなたの農耕を始めてみませんか。
執筆者プロフィール
株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。
大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。

