「キャンペーンをやればフォロワーが増えるらしい」――そんな期待を胸に、プレゼント企画を実施したものの、待っていたのは一瞬の盛り上がりと、キャンペーン終了後の静寂、そして虚しいフォロー解除の通知…。
多くの企業担当者が、この「キャンペーン後のがっかり感」を経験しています。
それは、キャンペーンを単なる「フォロワー集めの祭り」と捉え、その本質的な目的を見失っているからです。
この記事は、キャンペーンを「目的達成のための戦略的ブースター」として捉え直し、企画から分析、そして次の一手までを一気通貫で設計するための、実践的な思考法と具体的な手順を提供します。
なぜキャンペーンをやるのか?企画の根幹を定める「3つのC」
成功するキャンペーンは、例外なく企画の骨子が明確です。
なんとなく始めるのではなく、まずは以下の「3つのC」を徹底的に自問し、チームで共有することから始めましょう。
・Cause(目的): 「なぜ、今キャンペーンをやる必要があるのか?」を突き詰めます。新商品の認知を短期間で最大化したいのか、ブランドへのポジティブな口コミ(UGC)を増やしたいのか、それとも採用活動の一環として企業の魅力を伝えたいのか。この目的が曖昧なままでは、施策全体がブレてしまいます。
・Customer(ターゲット): 「誰に、この情報を届けたいのか?」を具体的に描きます。まだ自社を知らない潜在顧客にリーチしたいのか、それとも日頃の感謝を込めて既存フォロワーとの絆を深めたいのか。ターゲットによって、最適な手法やメッセージは全く異なります。
・Contents(手法と景品): 「何を、どうやって届けるか?」を設計します。上記の目的とターゲットを踏まえ、最も効果的なキャンペーン手法(後述)を選び、そして彼らが「参加したい!」と心から思うような魅力的な景品や体験は何かを考え抜きます。
主要キャンペーン手法3選|あなたの目的に最適なのはどれ?
キャンペーンの手法は多岐にわたりますが、ここでは代表的な3つの手法の特性を比較し、どのような目的と相性が良いのかを解説します。
| キャンペーン手法 | メリット | デメリット | こんな目的におすすめ |
|---|---|---|---|
| フォロー&いいね | 参加ハードルが極めて低く、短期間でフォロワー数を増やしやすいのが最大の特徴です。 | 「懸賞アカウント」と呼ばれるプレゼント目的のユーザーが集まりやすく、キャンペーン後のフォロー解除率が高い傾向にあります。 | まずはアカウントの存在を知ってもらい、短期間でフォロワー数を増やしてプレゼンスを高めたいフェーズ。 |
| フォロー&コメント | 「いいね」に加えてコメントという一手間が必要なため、参加者の熱量が高く、エンゲージメント(投稿への反応)向上に直結します。 | 参加ハードルがやや高くなるため、爆発的な参加者数の増加は見込みにくいです。 | 新商品への期待感や、ブランドに対する具体的な意見・感想を収集したい場合。 |
| ハッシュタグ投稿(UGC) | 顧客が自らのアカウントで、指定のハッシュタグをつけて投稿するため、質の高いUGC(口コミ)が自然発生的に生まれます。このUGCは、企業の広告よりも信頼性の高いコンテンツとして二次利用できます。 | 参加ハードルが最も高く、ユーザーに「投稿したい」と思わせるだけの、非常に魅力的な企画と景品が不可欠です。 | 商品の多様な利用シーンを見せたい、顧客を巻き込みながらブランドの世界観を共創していきたい場合。 |
景品選びの極意|「ハワイ旅行」が、必ずしも正解ではない理由
キャンペーンの成否を分ける最も重要な要素の一つが「景品選び」です。
「豪華であればあるほど良い」というのは、大きな誤解です。
例えば、化粧品会社が「ハワイ旅行」を景品にした場合、確かに多くの応募が集まるでしょう。
しかし、その中には化粧品に全く興味のない「旅行好き」が大多数を占めてしまいます。
彼らはキャンペーンが終われば、あっさりとフォローを外していくでしょう。
重要なのは、景品が自社のブランドやターゲット層と深く関連していることです。
自社製品の詰め合わせ、限定の非売品ノベルティ、開発者と話せるオンラインイベントへの招待券など、「そのブランドのファンだからこそ嬉しい」と感じる景品を用意することで、質の高い、未来の優良顧客を惹きつけることができるのです。
企画から実行までのロードマップ|7つのステップで迷わない
- ステップ1:目的とKPIの設定: 「3つのC」を明確にし、フォロワー増加数、エンゲージメント率、UGC件数といった具体的な数値目標(KPI)を定めます。
- ステップ2:キャンペーン手法と景品の決定: KPI達成に最も効果的な手法と、ターゲットの心に響く景品を選び抜きます。
- ステップ3:期間とスケジュールの設定: 告知、実施、締切、当選発表までの詳細なスケジュールを引きます。
- ステップ4:Instagramのガイドラインの最終確認: 「いいねやフォローの見返りに金銭や金券を渡すことは禁止」など、規約違反がないか必ず確認します。
- ステップ5:クリエイティブの作成と告知: キャンペーン内容が一目でわかる画像や動画を作成し、期待感を醸成するティザー投稿(予告)から始めます。
- ステップ6:キャンペーン期間中の盛り上げ: 中間報告や、ストーリーズでのリマインド投稿などを通じて、参加を迷っている人の背中を押します。
- ステップ7:当選者の選定と発表: 公平な方法で当選者を選定し、DMでの連絡と、可能であれば(許可を得て)ストーリーズなどで発表し、祝福ムードを演出します。
キャンペーンは「終わった後」が9割。次なる成長に繋げる分析術
キャンペーンの本当の価値は、終わった後にこそ問われます。
やりっぱなしにせず、必ず以下の分析とアクションを行いましょう。
・定量分析: 設定したKPIが達成できたか、具体的な数値で振り返ります。特に「キャンペーン後のフォロー解除率」は、企画の質を測る重要な指標です。
・定性分析: 集まったコメントやUGCの内容を一つひとつ読み込み、顧客が自社ブランドや商品に対してどのようなイメージを持っているか、どんな言葉で語っているかといった「生の声」を分析します。
・新規フォロワーとの関係構築: キャンペーンで新しくフォローしてくれたユーザーが離脱しないよう、改めてブランドの自己紹介をしたり、彼らが興味を持つであろう通常コンテンツを企画・配信したりして、関係を深めていきます。
・次の一手へ: これらの分析結果から得られた学び(ターゲット層の反応が良かった景品、想定外のUGCなど)を、次回のキャンペーンや日々の運用改善に活かすことで、PDCAサイクルを回していきます。
まとめ:キャンペーンを、持続的な成長のエンジンに変えよう
Instagramキャンペーンは、単発の打ち上げ花火ではありません。
戦略的に設計し、実施後の分析と改善を繰り返すことで、それはアカウントの成長を力強く加速させる、持続可能なエンジンとなり得ます。
株式会社but artは、こうした一過性の「お祭り」ではない、年間マーケティング戦略に組み込まれた、事業全体の成長に貢献するキャンペーンの設計を得意としています。
キャンペーンという強力なブースターを、あなたのビジネスの成長エンジンに変えるお手伝いをさせてください。
執筆者プロフィール
株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生 愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。
大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。

