求人広告や人材紹介に費用をかけても、思うように応募や採用につながらず、採用コストの見直しに悩む企業も少なくありません。
採用コストを見直す際は、単に支出を減らすのではなく、採用の質を保ちながら予算の配分を見直すことが大切です。
本記事では、採用コストの内訳や相場、費用が高くなる原因を整理したうえで、具体的な削減方法を7つ紹介します。あわせて、求人広告や人材紹介への依存を抑える方法として、SNS採用の始め方や運用のポイントも解説します。
100社以上のSNS運用代行実績を持つbutartの支援事例も交えながら、採用単価を抑えるための考え方をお伝えします。
採用コストの内訳と採用単価の目安

採用コストとは、求人募集から内定・入社までの採用活動にかかる費用の総称です。採用コストを見直すには、まず費用の内訳と採用単価の目安を把握することが大切です。
ここでは、採用コストの内訳や採用単価の計算方法、平均相場を詳しく解説します。
外部コストと内部コストの内訳
採用コストは、大きく「外部コスト」と「内部コスト」の2つに分けられます。
【外部コストの例】
・求人広告費(求人媒体の掲載料・運用型広告の出稿費)
・人材紹介会社に支払う成功報酬手数料
・合同説明会など採用イベントの出展費
・採用サイト・採用動画の制作費
・採用ツールの利用料
【内部コストの例】
・人事担当者の人件費(求人原稿の作成、応募者対応など)
・面接を担当する現場社員・役員の工数
・リファラル採用(社員紹介)のインセンティブ
・内定者フォローや入社後研修にかかる社内工数
特に内部コストは、請求書が発生しないため見落とされやすい項目です。しかし、採用業務にかかる担当者や面接官の工数も、人件費として考える必要があります。
採用コストを正しく把握するには、外部コストだけでなく、内部コストも含めて確認することが大切です。
採用単価の計算方法と平均相場
採用単価は、1人を採用するためにかかった費用を表す指標です。次の計算式で算出できます。
採用単価=採用コスト総額(外部コスト+内部コスト)÷採用人数
リクルート就職みらい研究所「就職白書2020」によると、1人あたりの平均採用コストは、新卒採用で93.6万円、中途採用で103.3万円です。ただし、採用手法や業種、企業規模によって大きく異なるため、あくまで目安として捉えてください。
実際の採用単価は、利用する採用チャネルや採用活動の進め方によっても変わります。自社の採用単価が相場を大きく上回っている場合は、採用チャネルや採用プロセス、費用配分などを見直すことで、改善できる可能性もあるでしょう。
採用コストが高くなる3つの原因

採用コストを見直すには、まずコストが膨らむ原因を把握することが大切です。ここでは、多くの企業で見られる3つの原因を紹介します。
求人広告・人材紹介など外部サービスへの依存
求人広告や人材紹介は、利用するたびに費用が発生するため、外部サービスへの依存度が高いほど採用コストが膨らみやすくなります。また、求人掲載や広告出稿を止めると応募が減少しやすく、継続的にコストが発生する構造になりやすい点も課題の一つです。
採用ミスマッチによる早期離職
採用した人材が早期に離職すると、採用や教育にかけた費用を回収できないまま、新たな採用活動のためのコストが発生します。特に、入社前に抱いていたイメージと実際の仕事内容や職場環境とのギャップは、早期離職につながる要因の一つです。
採用コストを抑えるためには、採用人数だけでなく、入社後の定着も見据えた採用活動が欠かせません。
採用プロセスの非効率と効果測定の不足
採用チャネルごとの応募数や採用数、採用単価を把握していないと、成果につながりにくい採用手法にも継続して費用をかけてしまう恐れがあります。
また、面接日程の調整や選考結果の連絡に時間がかかる、面接回数が多いといった非効率な採用プロセスは、候補者の辞退につながることもあります。その結果、採用活動にかけた工数や費用が無駄になり、採用コストの増加を招く要因となるでしょう。
採用コストを削減する7つの方法

採用コストを削減する方法は一つではありません。まずは現在の採用活動を見直し、コストがかさむ要因を減らすことが大切です。そのうえで、継続的に採用コストを抑えられる仕組みを整える必要があります。
ここでは、採用活動の進め方を見直す方法と、継続的に採用コストを抑える仕組みづくりの2つに分けて、採用コストを削減する7つの方法を紹介します。
①採用チャネルの効果測定と見直し
まず取り組みたいのが、採用チャネルごとの効果測定です。媒体や採用手法ごとに、費用や応募数、採用数、採用単価、定着率などを整理し、数値を比較しましょう。そうすることで、応募は集まるものの採用につながりにくい媒体や、採用単価が高い媒体が見えてきます。
その結果をもとに、成果が出ていない媒体は見直し、効果の高い採用チャネルへ予算を配分することで、採用の質を維持しながら採用コストの削減につながります。定期的に効果を検証し、自社に合った採用チャネルへ改善を重ねることが大切です。
②リファラル採用・アルムナイ採用を取り入れる
リファラル採用(社員による紹介)やアルムナイ採用(退職者の再雇用)は、人材紹介会社などに依存せず採用できるため、採用コストを抑えやすい手法です。紹介に対するインセンティブを支給する場合でも、人材紹介会社を利用するより費用を抑えられるケースが多くあります。
また、社員からの紹介や、一度自社で働いた経験のある人材は、社風や仕事内容を理解したうえで入社するため、採用後のミスマッチが起こりにくく、定着率も高い傾向があります。
制度を導入するだけでなく、紹介制度の内容や求める人物像を社員へ継続的に共有することも大切です。
③自社採用サイト・オウンドメディアの強化
自社採用サイトやオウンドメディアは、仕事内容や社員インタビュー、働く環境など、自社の魅力を継続的に発信できる媒体です。求人媒体だけでは伝えきれない情報を掲載することで、求職者が企業への理解を深めやすくなります。
また、コンテンツを充実させることで、検索経由で自社を知る求職者との接点を増やすことも期待できます。継続的に情報を更新し、自社の魅力を伝える場として育てていくことが、長期的な採用コストの削減にもつながるでしょう。
④選考プロセスの効率化と辞退防止
面接回数の見直しや一次面接のオンライン化、日程調整ツールの活用、選考結果の迅速な連絡などは、採用業務の効率化につながります。担当者の工数を削減できるだけでなく、応募者を長く待たせないことで、選考辞退の防止も期待できるでしょう。
特に重要なのが、応募から内定までのスピードです。選考期間が長くなるほど、他社で内定が決まり辞退につながる可能性が高まります。せっかく集めた応募者を逃さないためにも、面接官のスケジュールをあらかじめ確保するなど、選考を円滑に進められる体制を整えることが大切です。
⑤採用ミスマッチの防止で早期離職を減らす
採用ミスマッチを防ぎ、定着率を高めることは、長期的な採用コストの削減につながります。そのためには、求人票に仕事内容や給与、働き方を実態に即して記載することに加え、選考前後にカジュアル面談を実施したり、現場社員と話す機会を設けたりすることが大切です。また、入社後のオンボーディングを充実させることで、早期離職の防止も期待できます。
応募数を増やすことを優先して実態とかけ離れた情報を伝えると、入社後のギャップから早期離職につながる恐れもあります。自社に合った人材を採用し、定着につなげて、採用コストの削減にもつなげていきましょう。
⑥助成金・補助金の活用
キャリアアップ助成金や特定求職者雇用開発助成金など、一定の要件を満たす場合は、採用にかかる費用の一部について支給を受けられる制度があります。採用コストの負担軽減につながる一方で、制度の名称や要件、支給額は変更されることがあるため、活用する際は厚生労働省の最新情報を確認しましょう。
助成金の利用を前提に採用条件を決めるのではなく、自社の採用方針に合った採用活動を行うことが重要です。要件に該当する場合は、忘れずに活用を検討しましょう。
⑦SNS採用(ソーシャルリクルーティング)の導入
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは、InstagramやTikTokなどのSNSを活用して、自社の仕事や社風を発信し、応募につなげる採用手法です。これまで紹介した施策が採用にかかる費用や工数の削減を目的としているのに対し、SNS採用は、自社から継続的に情報を発信することで、求人広告や人材紹介会社だけに頼らない採用につなげられる点が特徴です。
SNSへの投稿自体に掲載費用はかからず、一度公開したコンテンツは継続的に閲覧される可能性があります。そのため、中長期的な採用コストの削減も期待できます。SNS採用については、次章で詳しく解説します。
SNS活用が採用コスト削減につながる理由

SNS採用は、求人広告や人材紹介会社だけに頼らず、自社で継続的に応募を集められる仕組みをつくれるのが大きな特徴です。また、社風や働く人の様子を発信することで、応募者とのミスマッチを減らし、採用後の定着にもつながります。
ここでは、SNS採用が採用コスト削減につながる理由を、butartの支援実績を交えながら紹介します。
広告費や紹介手数料を抑えられる
求人広告は掲載を終了すると、求職者の目に触れる機会がなくなりますが、SNSは投稿したコンテンツが公開後も継続して閲覧されます。投稿を重ねることで企業を知ってもらう機会が増え、応募を検討している人との接点を持ち続けられる点が特徴です。こうした情報発信を継続することで、自社で応募を集めやすくなり、求人広告や人材紹介会社への依存を減らすことにもつながります。
butartの支援事例でも、求人媒体だけに頼るのではなく、SNS運用と短尺動画広告を組み合わせることで、人材紹介会社を利用せずに採用につながったケースがあります。
・解体業のA社:大手媒体では成果が出なかったものの、短尺動画広告22万円・20日間で5名の応募を獲得(応募単価4.4万円)
・建設業のB社:約59.4万円で8名の応募を獲得し、20〜30代の若手人材の採用に成功
・運送業のC社:急募時は約11万円で4名、通常運用では約77.5万円で12名の応募を獲得
・不動産営業のD社:約38.5万円で10名の問い合わせを獲得し、月5件程度の応募を安定して獲得
・コールセンターのE社:12か月で問い合わせ75名・内定20名を獲得
・レンタカーのF社:大手媒体では応募がなかったものの、ショート動画広告へ切り替えた結果、8か月で8名の内定を獲得(採用単価約21万円)
いずれも、求人媒体と短尺動画広告、Instagram運用を組み合わせることで応募者を継続的に集め、人材紹介会社への依存を抑えながら採用につなげた事例です。自社で応募を集める仕組みを育てることで、求人広告や人材紹介会社にかかる費用を抑えながら、継続的な採用活動につなげられるでしょう。
ミスマッチを防ぎ、定着率を高められる
SNSでは、社風や社員の様子、職場の日常など、求人票だけでは伝えきれない情報を発信できます。応募前に会社への理解が深まるため、「思っていた仕事や職場と違った」といった入社後のギャップを減らし、ミスマッチや早期離職の防止につながります。
butartの支援事例では、社風や社内イベント、月次定例の様子などを発信した結果、競争の激しい業界でも応募率が約3倍になったケースがあります。また、Instagramのフォロワーが数百人規模でも応募につながった事例もあり、フォロワー数よりも、何を発信するかが重要であることが分かります。実際、運送業のC社では、業界のイメージを変える動画発信により、女性からの応募比率が全国平均の10倍に達した事例もあります。
応募者は、求人媒体で企業を知ったあとに企業名で検索し、採用サイトやInstagramを確認したうえで応募を判断するケースも少なくありません。SNSを通じて会社の雰囲気や働く人の様子を事前に伝えることで、応募者は働くイメージを持ちやすくなります。その結果、入社後のギャップを減らし、ミスマッチや早期離職の防止につながります。
SNS採用を始める3ステップ

SNS採用は、アカウントを開設して投稿するだけで成果が出るものではありません。採用したい人材に合った媒体を選び、発信する内容を整理したうえで、継続できる運用体制を整えることが大切です。ここでは、SNS採用を始める際に押さえておきたい3つのステップを紹介します。
STEP1:媒体を選ぶ
まずは、自社の採用ターゲットに合った媒体を選びましょう。SNSにはそれぞれ利用者層や特徴があるため、複数の媒体を同時に運用する必要はありません。
例えば、20代の若手採用であればInstagramやTikTok、リアルタイム性や拡散力を重視する場合はX、ビジネス層へのアプローチを目的とする場合はLinkedInが選択肢になります。採用したい人材が日頃から利用している媒体を選ぶことが大切です。
STEP2:発信テーマを設計する
媒体が決まったら、発信する内容を整理します。求人情報だけでは、会社の魅力や働くイメージは十分に伝わりません。
社員インタビューや1日の仕事の流れ、社内イベント、福利厚生、職場の雰囲気など、応募者が知りたい情報を発信しましょう。あらかじめ発信テーマを決めておくことで、投稿内容に統一感が生まれ、継続的に運用しやすくなります。
STEP3:運用体制を整える
SNS採用は、継続して情報を発信することで効果を発揮します。そのため、無理なく運用を続けられる体制づくりが欠かせません。
担当者を決めるだけでなく、投稿内容の確認方法や撮影への協力体制なども事前に決めておくと、運用がスムーズになります。採用担当だけで対応が難しい場合は、現場の社員と役割を分担したり、必要に応じて外部の支援を活用したりすることも有効です。
SNS採用を継続するためのポイント
SNS採用を継続するためには、次の4つのポイントを意識しましょう。
・無理なく続けられる運用体制を整える
・応募につながった投稿を振り返る
・応募者が知りたい情報を継続して発信する
・必要に応じて外部の支援を活用する
SNS採用は、一度の投稿で成果が出るものではありません。応募につながった投稿や反応のよかった内容を振り返りながら、発信内容を見直していくことが大切です。また、社員インタビューや職場の雰囲気など、応募者が働くイメージを持てる情報を継続して発信しましょう。
すべてを社内だけで対応する必要はありません。戦略設計や動画制作など専門性の高い業務は外部に任せ、日々の投稿や撮影は社内で行うなど、自社に合った体制で無理なく運用を続けることが大切です。
butartでも、採用SNSの戦略設計から運用までを支援する採用SNS支援サービスを提供しています。専門的な支援を受けながら立ち上げ、運用が安定してから内製化する進め方も選択肢の1つです。
採用コスト削減の注意点と予算配分の考え方

採用コストには、削減してよい費用と、削減すべきでない費用があります。応募者への対応や入社後フォローに関わる費用・工数は削らないようにしましょう。面接対応の質、選考結果の連絡や内定者フォロー、入社後のオンボーディングを削ると、辞退や早期離職が増え、かえって採用コストが膨らみます。迷ったときは、「その費用・工数は良い人材の採用や定着につながるか」を基準にしてください。
また、butart代表の山口は、採用に悩む経営者に対して、短期的なコスト削減と中長期的な採用力向上のバランスを取ることを提案しています。「削る」のではなく、予算配分を見直すという考え方です。
効果の低い外部サービスへの支出を減らし、その分を自社採用サイト・リファラル制度・SNSアカウントといった、自社で継続的に活用できる採用基盤に振り向けます。
自社で育てていく採用チャネルは成果が出るまで時間がかかりますが、中長期的に外部サービスへの依存を抑えられます。
まとめ:採用コストは「削る」より「使い方を見直す」

採用コストを見直す際は、単に支出を減らすのではなく、どの採用手法に費用をかけるかを整理することが大切です。
・採用チャネルごとの効果を確認し、成果の出ている手法に絞る
・リファラル採用やアルムナイ採用を取り入れる
・自社採用サイトやオウンドメディアを活用する
・選考の進め方を見直し、辞退を防ぐ
・採用時のミスマッチを減らし、早期離職を防ぐ
・助成金や補助金を活用する
・SNS採用を取り入れる
まずは、現在利用している採用チャネルごとの応募数や採用単価を確認し、自社に合う施策から取り組みましょう。
求人広告や人材紹介会社だけに頼るのではなく、SNSやリファラル採用、自社採用サイトなど、自社で応募者に情報を届けられる方法も組み合わせることで、採用コストを抑えながら安定した採用活動につなげられます。
butartでは、100社以上のSNS運用代行実績をもとに、採用SNSの戦略設計からコンテンツ制作、運用まで支援しています。採用コストの見直しやSNS採用の導入をご検討中の方は、お気軽に採用SNS支援サービスまでご相談ください。

