Instagram内製化の5ステップ|初心者でもできる始め方ガイド

はじめに

「Instagramをビジネスで活用したいけど、何から手をつければいいの?」 「フォロワーを増やして、最終的には売上につなげたい」 「プロに頼むほど予算はないから、自分で運用できるようになりたい」

今や、Instagramは単なる写真共有アプリではなく、ビジネスにとって欠かせないマーケティングツールとなりました。

しかし、いざ自社で運用を始めようとしても、その具体的な手順がわからず、立ち止まってしまう方は少なくありません。

ご安心ください。Instagramの運用は、正しいステップを踏めば、初心者でも必ず成果を出すことができます。

重要なのは、やみくもに投稿を始めるのではなく、しっかりとした戦略を持って、計画的に進めることです。

本記事では、ピラー記事「SNS運用の内製化完全ガイド」でも概説した内製化のプロセスを、特にInstagramに特化して、より具体的に、より分かりやすく解説します。

私たちが実践してきた「成果の出るアカウントの育て方」を、5つのシンプルなステップに凝縮しました。

この5ステップを順番に実行するだけで、あなたも今日から「なんとなく運用」を卒業し、ビジネスを成長させるための戦略的なInstagram運用をスタートできます。


目次

  1. ステップ①: 「誰に、何を届けるか」を決める(目的・ターゲット設定)
  2. ステップ②: アカウントの世界観を作り込む(プロフィール設計)
  3. ステップ③: ファンを増やす投稿を作る(コンテンツ戦略)
  4. ステップ④: 継続できる仕組みを作る(運用体制の構築)
  5. ステップ⑤: データを見て改善する(分析と改善)
  6. まとめ: まずは最初の1投稿から

ステップ①: 「誰に、何を届けるか」を決める(目的・ターゲット設定)

Instagram運用で最も重要な、そして最初のステップが、目的(KGI/KPI)ターゲット(ペルソナ)を明確にすることです。

ここがブレていると、どんなに頑張って投稿しても成果にはつながりません。

1. 目的(何のためにやるのか?)

まず、「なぜInstagramを運用するのか?」という目的を一つ、明確にしましょう。

: 「Instagram経由でのECサイトの売上を月間10万円達成する」
: 「新店舗の認知度を高め、月間30人の新規来店につなげる」
: 「採用活動に活用し、月間5件の応募を獲得する」

目的が決まったら、それを測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。

売上や来店数が最終ゴール(KGI)だとすれば、KPIはその中間指標です。

【目的別KPI設定の例】

目的KGIおすすめKPI
EC売上向上EC売上プロフィールへのアクセス数、ウェブサイトクリック数、保存数
店舗集客来店数プロフィールへのアクセス数、道順のタップ数、リーチ数
採用強化応募数採用サイトへのクリック数、DMでの問い合わせ数
認知度向上フォロワー数、リーチ数、インプレッション数、いいね数

ポイント: 最初から「フォロワー数」だけを追いかけないこと。フォロワー数はあくまで結果であり、目的ではありません。

ウェブサイトクリック数や保存数など、ビジネスの成果につながる指標を重視しましょう。

2. ターゲット(誰に届けるのか?)

次に、「誰に情報を届けたいのか」を、一人の具体的な人物像(=ペルソナ)として描き出します。

悪い例: 20代〜30代の女性

良い例: 「東京都在住、28歳、IT企業勤務の独身女性。年収450万円。趣味はカフェ巡りとヨガ。平日の夜や休日にInstagramで情報収集するのが日課。オーガニックやサステナブルな商品に関心が高い。」

ペルソナを具体的に設定することで、

どんな情報に興味があるか?(投稿内容)
どんなデザインを好むか?(世界観)
何時にInstagramを見ているか?(投稿時間)

といったことが明確になり、投稿の精度が格段に上がります。


ステップ②: アカウントの世界観を作り込む(プロフィール設計)

目的とターゲットが決まったら、アカウントの「顔」であるプロフィール画面を整えます。

ユーザーはプロフィール画面を3〜5秒で見て、フォローするかどうかを判断すると言われています。

ここで「このアカウントは自分に有益だ」と思わせることが重要です。

1. プロフィール写真

  • 企業アカウント: ロゴマークを大きく、分かりやすく表示する。
  • 個人アカウント: 顔がはっきりわかる、清潔感のある写真を使う。

2. アカウント名(名前)

「アカウント名@何を発信しているか」 が一目でわかるように記載する。

例: 「but art|東京のSNSマーケティング会社

この部分は検索対象になるため、関連キーワード(例:「SNS運用」「Web集客」)を入れると発見されやすくなります。

3. 自己紹介文

以下の要素を上から順番に、簡潔に記載します。

  1. 誰の、どんな悩みを解決するアカウントか(例: 愛媛の中小企業様へ)
  2. 発信内容(例: Instagram集客のコツを発信)
  3. フォローするメリット(例: 投稿を見るだけでWeb集客が学べる)
  4. 実績や権威性(例: 18万フォロワー達成 / 県主催セミナー登壇)
  5. 誘導したいリンク(CTA)(例: ↓無料相談はこちらから)

4. リンク

複数のリンクをまとめられる「リットリンク(lit.link)」などの無料ツールを活用し、ウェブサイト、ECサイト、ブログ、他のSNSなどへの導線を作る。

5. ハイライト

ストーリーズの投稿をテーマ別にまとめておく機能。

「会社紹介」「サービス一覧」「お客様の声」「よくある質問」など、ユーザーが知りたい情報をまとめておくと親切です。


ステップ③: ファンを増やす投稿を作る(コンテンツ戦略)

プロフィールが完成したら、いよいよ投稿作成です。大切なのは、売り込みたい情報」ではなく、「ユーザーが知りたい情報」を発信することです。

1. 投稿の型を決める

Instagramの投稿には、主に以下の種類があります。それぞれの役割を理解し、バランス良く投稿しましょう。

  • フィード投稿: メインとなる投稿。ノウハウ、商品紹介など、価値ある情報を届ける。
  • リール動画: 新規フォロワー獲得に最も効果的。トレンドの音源を使い、短尺で分かりやすい動画を作る。
  • ストーリーズ: 既存フォロワーとの関係構築。日常の様子、アンケート、質問コーナーなど、リアルタイムなコミュニケーションを図る。

おすすめの投稿頻度: フィード投稿(週2〜3回)、リール(週1〜2回)、ストーリーズ(毎日1回以上)

2. コンテンツの3つの役割

投稿内容を、以下の3つの役割に分類して考えます。

  1. 集客コンテンツ(80%): ユーザーの悩みを解決するノウハウや、役立つ情報。保存されやすい。例: 「インスタ集客5つのコツ」「知らないと損する補助金情報」)
  2. 教育コンテンツ(15%): 自社の商品やサービスが、なぜユーザーの悩みを解決できるのかを伝える投稿。(例: 「お客様の成功事例」「サービス開発の裏側」)
  3. 販売コンテンツ(5%): 具体的な商品やサービスの紹介、キャンペーンの告知。(例: 「新サービス〇〇、本日リリース!」)

最重要ポイント: 「集客コンテンツ」が8割です。売り込みは徹底的に少なくし、まずは価値提供に徹することで、信頼残高が貯まり、結果的に商品が売れるようになります。

3. ハッシュタグ戦略

ハッシュタグは、あなたの投稿を必要としているユーザーに見つけてもらうための重要な機能です。

ビッグワード(投稿数10万以上): 1〜2個(例: #マーケティング)
ミドルワード(投稿数1万〜10万): 3〜5個(例: #sns運用)
スモールワード(投稿数1万未満): 5〜10個(例: #インスタ集客方法)

最初はスモールワードを中心に付け、徐々にミドル、ビッグワードでも上位表示を狙っていくのが王道の戦略です。


ステップ④: 継続できる仕組みを作る(運用体制の構築)

Instagram運用で最も難しく、最も重要なのが「継続すること」です。三日坊主で終わらないための仕組みを作りましょう。

1. 担当者と役割分担を決める

  • 一人でやる場合: まずは週に合計5時間など、SNS運用のための時間をスケジュールに組み込む。
  • チームでやる場合: 「企画担当」「撮影・デザイン担当」「投稿・分析担当」など、役割を分担すると効率的です。

2. 投稿の型(テンプレート)を作る

無料のデザインツール「Canva」などを使って、投稿のデザインテンプレートを数種類作っておく。

毎回ゼロからデザインを考える必要がなくなり、作業時間が大幅に短縮され、アカウントの世界観も統一できます。

3. 投稿ネタをストックしておく

思いついたアイデアは、いつでもメモできるようにしておく。(Google Keep, Notionなど)

お客様からよく聞かれる質問、競合アカウントの人気投稿などを参考に、ネタをリスト化しておく。

4. 予約投稿ツールを活用する

Meta社が公式に提供している「Meta Business Suite」を使えば、無料でInstagramとFacebookの予約投稿ができます。

時間があるときに1週間分まとめて作成・予約しておけば、日々の投稿業務から解放されます。


ステップ⑤: データを見て改善する(分析と改善)

投稿しっぱなしでは、アカウントは成長しません。必ずデータ(インサイト)を振り返り、次のアクションに活かすPDCAサイクルを回しましょう。

1. プロアカウントに切り替える

無料の「プロアカウント(ビジネスアカウント or クリエイターアカウント)」に切り替えることで、投稿ごとの詳細なデータ(インサイト)を見られるようになります。設定から数タップで簡単に変更できます。

2. 最低限見るべき3つの指標

インサイトには多くの指標がありますが、初心者はまず以下の3つに注目しましょう。

  1. 保存数: 投稿が「後から見返したい」と思われるほど有益だったかどうかの指標。最も重要な指標の一つ。
  2. ホーム率: フォロワーのうち、どれだけの人がフィードで投稿を見てくれたかの指標。フォロワーとの関係性の強さを示す。
  3. プロフィールアクセス率: 投稿を見て、プロフィールに飛んできてくれた人の割合。新規フォロワー獲得につながる重要な指標。

3. 分析と改善のサイクル

  • 週次: 投稿ごとの上記3つの指標をチェックし、「なぜこの投稿は保存数が多かったのか?」「なぜこの投稿はプロフィールアクセス率が低かったのか?」を考察する。
  • 月次: 1ヶ月間の全体の数値を振り返り、フォロワー数の増減、ウェブサイトクリック数の変化などを確認し、翌月の目標とアクションプランを立てる。

この地道な分析と改善の繰り返しが、成果への唯一の道です。


まとめ: まずは最初の1投稿から

Instagram内製化の5ステップ、お疲れ様でした。最後に、内容を振り返ってみましょう。

  • ステップ①: 目的・ターゲット設定: 「誰に、何を届けるか」を明確にする。
  • ステップ②: プロフィール設計: 3秒でフォローされる「顔」を作る。
  • ステップ③: コンテンツ戦略: 価値提供8割、売り込み2割を徹底する。
  • ステップ④: 運用体制の構築: 継続できる仕組みを作る。
  • ステップ⑤: 分析と改善: データを見てPDCAを回す。

多くの情報がありましたが、最初からすべてを完璧にこなす必要はありません。大切なのは、まず一歩を踏み出し、最初の1投稿をしてみることです。

この記事をガイドブック代わりに、ぜひInstagram運用の第一歩を踏み出してみてください。その先には、新しい顧客との出会いと、ビジネスの新たな可能性が待っています。


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お問い合わせ: 株式会社but art 公式サイト


執筆者プロフィール:

株式会社but art 代表取締役社長 山口 裕生

愛媛県主催のSNSセミナー講師も務める。

大手企業~中小企業まで100社以上のSNS内製化支援実績を持つ。